そうですね、「本音」を喋ってもらうにはまずは「心の壁」を取り払うところから始めるのがいいでしょう。
「心の壁」を感じるのは、相手にとって自分が違うものという認識があるから…
これには“人は自分に似た相手に好意を持つ”という「類似性の原理」が関わっていそうです。
今回は、その「心の壁」の原因となっているものを「類似性の原理」で説明し、そのあとおすすめの対策として「傾聴」を紹介します。
なぜ「心の壁」ができているのか
「心の壁」を生んでいる理由は「類似性の原理」説明できる
まずは『なぜ心の壁ができているか』ですが、その理由はおそらく「類似性の原理」で説明できるできます。
- なぜ本音を引き出せないのか→それは心を許していないから
- なぜ心を許していないのか→それは自分(の価値観・認識)を認めてくれないと思っているから
- なぜ自分を認めてくれないと思っているか→自分と(その人が)違うと思っているから
- なぜその人と違うと思っているのか→似ていないから
「なぜ本音を語ってくれないか」を考えていくと、「自分と相手が似ていない」から「心の壁」ができている…
そこには「類似性の原理」が働いていそうです。
「類似性の原理」とは…
「類似性の原理」とは人間の行動原理の一つです。
行動原理の大原則は「快・不快」という感覚が元になっていて、「類似性の原理」もそれによって説明することが可能です。
[類似性の原理]
人は自分に似た相手に好意を持つ
人は自分と話が合う相手や、同じ趣味を持つ人、物事の考え方が似ている人と一緒にいることで楽しいと感じたり、安心感を抱く…
この心理の原則を「類似性の原理」といいます。
それは自分と同じ意見の相手と一緒にいることで、いつも自分自身をだ正しいと肯定していられるからです。
もし、価値観の合わない相手と一緒にいれば、自分の意見や態度を否定される可能性が高くなり、自分が不快感を抱くリスクも大きくなるのです。
そうですね、要するに「類似性の原理」に従い、似た相手に好意を持つことは、自分が気楽になれるわけです。
気楽な状態は「快」ですから、それを求めるのは当たり前の感覚というわけです。
似ていないから本音を出さないと言える
「似ていない」ことは何を意味するか…
ここでの「似ていない」は自分の価値観や考え方や想いなどと重ならないことです。
価値観や考え方や想いが重ならないことは、自分の意見を言ったときに「共感されない」ことを予測してしまう要因になります。
「共感されないこと」は「不快」に当てはまりますから、そのことは避けたい。
だから自分の本音を隠すことになるわけです。
そうですね。
そこで必要になってくるのが相手を受け入れて話を聴く「傾聴」です。
本音を引き出す傾聴術
「傾聴」とは相手の話を受け入れじっくり聴くこと
まず、「傾聴」とは相手の話をじっくり聴くということです。
「傾聴」は現代の臨床心理学の現場でも主軸として採用されている方法です。
傾聴には、相手に話をさせることによって気持ちを整理させ、現状に不満があれば、その取り組み方を振り返って反省し、なんとか自分自身で解決方法を見出させようとする効果があります。
そのとき出てくる「現状の不満、その取り組み型への反省」などの声が、あなたが聴きたい本音にあたるのではないでしょうか。
また、話に耳を傾けることによって、無条件で自分を受け入れてくれる相手として信頼感を抱かせる効果もあります。
本音を引き出す「傾聴」のための質問術
相手に話させるためには「質問」です。
「質問」ができたら相手は答えようとしますからそれを「傾聴」すればいいのです。
これは相手との関係もありますし、どれだけその会話に時間が取れるかにもよってきます。
ですが、やはり本音を引出したいのであればその本音を引き出したい事柄に近いことを聴くことは避けられません。
具体的には、例えば後輩や部下に対して…
「最近いい感じだね」と肯定の言葉をかけること。
このとき、まず相手は自分が受け入れられていることにホッとします。
同時に謙遜して『自分にはここが足りていない』とか『ここが苦労した』『今はこれが問題になっている』といった本音を口にする。
それを聞いてあげればいいのです。
もし、なかなか本音を言ってくれないと思う相手であれば肯定した上で質問を重ねることが有効です。
「すごくいい感じだと思うけど、やってる本人としては何か足りないところある?」とか。
そういうふうに肯定した上で質問されると悪い気がしないし、逆に自分の悩みを聞いてくれる存在として認知される可能性が高まり、別の機会でも本音を語ってもらいやすくなるでしょう。
そうですね。
そこで出てきた「本音」に共感できなかったとしても、一旦は受け入れて寄り添う姿勢を示すことが大切です。
以上、「傾聴で本音を引き出す方法」でした。