たしかに解決策は与えられるより、本人が気づいた方がいいと思います。
解っている人間が答えを与えれば、その答えに則ってその人は行動することになるでしょう。しかし、それでは後に続きません。
その人のことを思うのであれば答えを与えるよりも、その答えに気づかせてあげることが良いでしょう。
そんなときに必要になってくるのが「傾聴力」です。
「傾聴」には、相手に話をさせることで気持ちを整理させ、現状に不満があれば、自分の取り組み方を振り返って反省し、なんとか自分で解決法を見出させようとする効果があります。
*詳しくは【相談に乗るのが上手な人は解決策を語らない!人に好かれる会話術】をご覧ください。
その傾聴術を使っても解決にならないとき、本当に解決策が必要な場合には「質問」が有効です。
今回は相談に乗り、本人から解決策を引き出す質問術をご紹介します。
答え(解決策)に導く質問術
相手の相談に真摯に耳を傾け傾聴した、それでも解決に至らない場合には「質問」が必要になってきます。
質問内容は至ってシンプルです。
- 「現実」を語ってもらうための質問
- 「理想」を語ってもらうための質問
- その「ギャップ」の埋め方を考えさせる質問
1.「現実」を語ってもらうための質問
この「現実」の部分はあえて質問せずとも相談してきた話に含まれていると思いますが、改めて聞いても整理できていいかもしれません。
相談された内容の軸となる部分の「現実」を聞きます。
「現状を整理するとどんな感じ?」「その状況ついてどう考えてる?」と。
2.「理想」を語ってもらうための質問
次に「理想」を語ってもらう質問をします。
「理想はどうなること?」「最終的にはどうなって欲しい?」と聞きましょう。
3.その「ギャップ」を埋め方を考えさせる質問
最後にその「現実」と「理想」とのギャップに向き合ってもらい、その解決策を問うための質問をします。
これらの質問をするときは「相手が考えている時は決して口を出さないこと」がポイントです。
沈黙の間も相手は考えています。
沈黙も会話のうちと捉え、間を恐れないことが相手のためになります。
相手は考えるのが苦しいからと頼ろうとするかもしれませんが、答えを与えることは避けましょう。
もし答えがあるのならあそこに導くための質問をするくらいに留めましょう。
理想と現実のギャップから目を逸させないことが解決策につながる
質問はさっきの通りで「現実」「理想」「ギャップを埋める方法」それぞれを問う質問を順番にするだけです。
すごくシンプルですが効果的な方法です。
相談してきた人がグチを言うことでストレス発散がしたいのであればそれを聞いてあげるだけでいい。
しかし、そうではなく「解決策が欲しい」という場合に有効です。
グチや文句を言っている人の多くは現実も理想も見えてない人が多い、もしくはどちらか片方ばかり重視してしまっている。
だからギャップがしっかり捉えられず、解決策が見出せない。
だからそこに気づきを与える質問をする。
「現実は?」「理想は?」「そのギャップを埋めるには?」
「理想と現実のギャップ」を解っている人から「理想」を聞く質問術
たしかに理想が現実からかけ離れすぎている自覚があると、理想を言うのに抵抗がかかる。
そんなときは、その抵抗を少し楽にする言葉を用意しましょう。
「もし、何の制約もなかったら、理想は?」
この一言があれば、理想を語ってくれる可能性がグンと上がるはずです。
なぜなら『もし、何の制約もなかったら』と言うことによって、その理想を受け入れる姿勢を示すことができているからです。
『何の制約もない』のだから、否定される可能性がありません、否定されない安心感があれば素直に理想を語ってくれるはずです。
もちろん「理想」を聞いた後にも否定はしてはいけません。
そんなことはありません。
そのギャップを埋めることを第一に考えて、本人がギャップを埋めることが不可能だと思ったときに、本人がその理想を「理想は理想」と捉えなおせばいいだけの話です。
それにそのギャップが大きいほど、ギャップを埋めるための考えに深みが増す。
ギャップを埋めるアイデアはひとつである必要はない。
大きなギャップを埋めるための、小さな段差ができればあとはそれを一つずつ登るだけになる。
千里の道も一歩から
かけ離れた理想もそれに道ができればあとは歩むだけ。
その人の理想を決して邪魔しないようにしましょう。