人間の行動には、いくつもの心理的な原則が存在し、ぼくたちは毎日それに従って行動をしてる…
この原則は心理学の世界で「行動原理」と呼ばれています。
相手の行動をより理解することで、コミュニケーションがとりやすく感じるのなら「行動原理」の理解が必要不可欠な知識になるでしょうね。
今回はその行動原理の中でも「それなしには人間社会が成り立たない」とさえ言われ、重要視される3つの大原則を順に紹介します。
行動原理の大原則は「快・不快」から生じる
人間に限らず地球上に存在する全ての生き物が「快(気持ちいい)か、不快か」と言う感覚で行動を決めていると言われています。
「気持ちいい」と感じる行動を選ぼうとする
人間は生活していく中で、「気持ちいい」と感じる行動を選ぼうとします。
お腹が空いたらご飯が食べたくなるし、喉が乾いたら水分が欲しい..自分が興味あることには関心が湧くし、好きな人と一緒にいたいと思いますよね。
それらは全て「気持ちいい」と感じる行動だからです。
逆に「不快感」を回避しようとする
逆に「不快感」は回避しようとします。
お腹が空いたままにはしたくないし、喉が乾いたら潤したい、興味のない情報のインプットはしたくない…退屈や、疲労、苦痛は避けたいですよね。
それらは全て「不快な気持ち」が沸くからです。
「社会」の中では「快・不快」の判断だけでは生きられない。
しかしながら、人間は「社会という集団」の中で生活しているので、単純に自分一人の「快・不快」の判断基準だけで生きていくことは不可能です。
多くの人との関係性や社会的規範などを保つためには、様々な判断が必要となってきます。
そして、その判断の源となる「行動原理」も多く存在するのです。
人間の行動は、これらの「行動原理」が複合的に絡み合った結果として行われているのです。
- 利得最大の原理
- 公平性の原理
- 返報性の原理
ここからは大原則といわれる3つの原理を順番に見ていきましょう。
1.「利得最大の原理」
人はなにかしらの行動をするとき、「得」になると思うことを選択して行動に移します。
これを心理学の世界では「利得最大の原理」と呼びます。
人は自分の「得」になる行動を選択する
人は誰だって、自分にとって得になることがあれば、それを最大限得られるようにしたいと思うもの。
お金は可能な限りたくさん稼ぎたいし、結婚する相手はできるだけ美男美女がいい、魅力的な友達もたくさん増やしたい…
そんな欲求は人類共通のものです。
たしかに“一見すると”自分が損をするような行動をとる人はいます。
しかしそれは、その相手や周囲の人間からよく思われたいという欲求や、社会の中で求められる人としての理想像に近づきたいなどといった、様々な社会の基盤から影響を受けた結果の行動ではないでしょうか。
もしくは、その行為が巡り巡って自分の得となるということがわかっているのかもしれません。
人は「損失」は最小限に止めようとする
人は自分の得になることは最大限に得たいと思う一方で、自分の「損失」になるようなことは最小限に留めたいと思う欲求があります。
基本的に、自分の悪口を言われて喜ぶ人はいませんよね。
「得」を最大限に「損」を最小限に…
この「利得最大の原理」が、人間のすべての行動に関わってくる原理であり、これを抜きにして人間の行動を理解することは不可能といってよいでしょう。
2.「公平性の原理」
人間って、一個の個体として他の動物と比べるとすごく弱い。
しかし数千年前から覇者として君臨し、支配続けている…
これは人間が「集団」として生きていくことを選択し協力し合うことで、ひとりではできないことを可能にしてきたからといえるでしょう。
この集団が「社会」であり、その社会の存在が先人たちが残した多くの知恵を受け継ぐことを可能にし、人類が発展してきたのです。
そんななか必要になったのが「公平さ」であり、この人間社会という集団に必要な行動原則を「公平性の原理」といいます。
たしかに短期的には対立する原理ですが、長期的な利益の増大のために補い合う原理といえるはずです。
もし自分の利益だけを追求し、他者を騙して様々なものを得ようとすれば、当然その人間は集団から排除されてしまいます。
このことを長期的な目で見れば自分が集団にいることで得られるはずの利益を失うことを意味します。
社会集団を成立させていくために、その中に自分を存在させるためには欠かすことのできない原理が「公平性の原理」と言えるでしょう。
3.「返報性の原理」
人間は自分ひとりが得をしすぎると不快に思う。
相手から何かを与えられた場合には、お返しをしなくてはならないって思うことありますよね。
これはお返しをしなければならないという「社会規範」が個人のアイデンティティの中に反映されているからだと考えられます。
そして、お返しが不可能なほど多く得をしてしまうと、罪悪感と心苦しさを覚えるようになるようです。
これを「心理的負債」といい、お返しをしたいと思う心理を「返報性の原理」と呼びます。